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箕面市立老健ブログ

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田中施設管理者退任のご挨拶

2023-03-31
箕面市立介護老人保健施設 施設管理者 田中 千足
新しいホームページができ、それを飾るにふさわしい施設管理者としての抱負を述べるべきところですが、退任の御挨拶になってしまったことをお詫び申し上げます。

令和4年4月に着任し、たった1年間の短い間でしたが、私にとりましては予想外に忙しい日々の連続で、知っている積りで全然分かっていなかったということ、もとより難しそうと思っていたことがやってみると本当に本当に難しいということを痛切に感じました。その分、医療・介護・福祉に対する見方を深め広げることができたと感謝しています。

医者の仕事は健康を損なった病気の状態を(医療保険のもとで)健康に向かって治すことで、それ以上でもそれ以下でもありません。中途半端にしか戻っていなくても、「それは知らない、現代医学ではこれ以上はできないよ」なのです。その方に「生活のしづらさ」が残っていてもです。医者は「生活のしづらさ」に直接介入できないのです。

「老健」は「介護人保施設」の略称です。老健の利用者は、介護老人であり、「健康をそこね」その「完全回復はできず」その結果「生活のしづらさ」が残っている人です。
「生活のしづらさ」を回復し、元の生活に戻れるようにすることが老健全スタッフの使命です。医者だけではできないので、看護師、介護士、療法士、管理栄養士、支援相談員、介護支援専門員、事務の多職種が(介護保険のもと)力を合わせるのです。ただ「元の生活に戻る」ことは至難の業です。「生活のしづらさ」を抱えつつ、「何とか生活する中に新しい輝きを見出す」ことを支援するのがスタッフの仕事となります。

「何とか生活する中に新しい輝きを見出す」作業は極めて困難で、しかも成果の見えない地味なものになります。
介護保険下で営む行為はもちろん介護報酬というはっきりとした成果を生み出すものでなければ老健の健全運営はできず、場合によれば存続の危機さえ迎えます。
だからと言って目に見える成果を追い求めすぎると、例えば「介護のための介護」「利用者の立場に立つのではなく、うまく介護できる利用者になることを強いる」という過ちを知らずに犯してしまいます。

私たち全スタッフはこのきわめて相対立する二つの命題を乗り越えて「利用者さんの生活に『輝き』を見出す」作業をせねばと心に誓ってきました。例えば「看取り」をする利用者さんに対しても、「何がその方の『人生の輝き』になるか」と哲学的倫理的問題にまで分け入らなければなりませんでした。
こうしてやればやるほど難しい作業で、たった1年では本当に道半ばでしかありません。箕面市老健に対しては中途半端な形で退任することになり、誠に申し訳ない次第です。
ただこの1年間一緒に働いてくれたすべてのスタッフには有難うという言葉しかないことを書き添えます。
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